テレビをつけた瞬間、とても懐かしいものが目に飛び込んできました。
ニッカピュアモルトウイスキーのボトルです。僕がまだ子供のころ、自営業の母のお客さんがよくうちに遊びに来ました。家には酒が常備されていて、のどがかわいたなーと思って冷蔵庫を開けても、ビールしかないような状態。
棚に並んでいたお酒のボトルのラベルデザインを左から順番に何気なく鉛筆で書き写して遊んでいて、「はっ!」としたのはこの「ニッカピュアモルトウイスキー」。脳裏に焼きついています。
これがグラフィックデザイナの佐藤卓 氏によるものだったとは露知らず。今日の情熱大陸は佐藤卓さんでした。日常目にするものの中にたくさん氏の作品があります。
一番印象に残ったのは「デザイナーはデザインしたいという願望がもちろんあるが、客観的な位置にするために自分をいかに殺すかが重要」ということを言っていました。これは同意見で、お客さんの言う事はとても大切だと思っています。お客さんの要望から仕事が始まるわけですから。でももちろん明らかにお客さんにとってマイナスになるだろうと見える場合は、納得してもらうように説明します。
僕はポピュラリティがデザイナとしてとても重要だと日頃思っていて、音楽アーティストにしても、いろんな人に聞いてもらえるキャッチーな曲を作るが、実はものすごい腕を匂わせる人にどうしてもかっこよさを感じてしまいます。自分を殺し「コアな人だけに聞いてもらえればいい」というのではなく、売れる曲を自分の要素をふんだんに入れて作れる人。
以前、 假屋崎省吾さんのドキュメンタリーを見たときに、スタッフには声を荒げて指示しながらもお客さんの声を取り入れ、アーティストなのにデザイナーの顔を持ち合わせた柔らかい方なのを知りその瞬間ファンになりました。その影に仕事へのありがたみが見えたような気がしたというのもあります。
僕は佐藤さんのようなスーパーデザイナーでもカリさんのようなスーパーアーティストでもありません。でも、譲れない部分がどうしてもあったりします。最近クライアントプレビュー時点でそのあたりのボーダーが以前より見えにくくなっていたのが、今日の情熱大陸のおかげで仕事の流し方が少しクリアになりそうです。


